はちみつの値段に差が出る理由とは?品質と価格の関係を徹底解説
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はちみつマイスター 竹中金沢にある直営店「みつばちかふぇ」の店長。美味しいもの、お酒が大好物。はちみつのことならなんでもお任せください♪
はちみつといっても金額のレンジはとても広く、色々な種類のはちみつが世の中には存在します。今回ははちみつの値段に差が出る理由について、品質と価格の関係を解説していきたいと思います。
目次
はちみつの値段はなぜ違う? 価格に影響を与える主な要素
はちみつの値段に影響を与えるのはいったい何なのか。また値段が高いものと安いものはいったいどこに違いがあるのかを理解するための基礎知識を解説します。
単花みつと百花みつ、どっちが高価なの?
単花みつはひとつの植物から採れた蜜で作られたもので、百花みつは複数の植物から採れた蜜が混ざったものです。一般的に、単花みつの方が百花みつよりも高価になります。
これはまず百花みつよりも採蜜量が少ないためです。百花みつは、近辺に生えている植物すべてが対象なので、みつばちにとってはたくさんの量を集めやすく、また養蜂業者にとっては管理がしやすいのです。
ミツバチが採蜜する地域に、ほかの植物が混ざらないよう管理も必要です。よって単花みつのほうがずっと、手間や人手がかかります。
さらにオーガニック(有機)認証を受けた養蜂場では、環境や生物への負荷を最小限に抑えながらの植物の管理を求められます。日本のオーガニックはちみつの基準では、飼育場から3㎞以内の植物がすべて有機的に、化学肥料や化学的農薬を使わずに成育されているものでなければならず、また都市の中心部や大きな道路、工業地帯、ごみの廃棄場や焼却場から十分な距離を取らねばなりません。
国土が狭いため、自然が多い広大な場所となると、おおむね険しい山間地となってしまう日本では、特に困難な基準となります。
養蜂業の手作業とリスク
養蜂業は非常に多くの工程が手作業で行われています。例えば、巣箱の管理や採蜜作業は機械化が難しく、すべての工程に細やかな配慮が必要です。上記のように自然豊かで花の種類が多い広いところでは、放し飼いにしておけばOKですが、日本で養蜂業を行うとなるとそうはいきません。
さらにはちみつの糖度は、みつが巣の中に貯蔵されている間に熟成が進むと上がるため、糖度にこだわらなければいくらでも採蜜でき、価格が低くなります。
しかし逆に糖度80度までしっかり熟成させて品質にこだわれば、採蜜量は少なくなり、手間と稀少性から高くなってしまいます。さらにそのようにして採取したみつを品質検査しますが、より厳密に行おうとするとコストがかかります。
国産の方が高価なのはなぜ?
一般的に国産の方が高価になります。日本は蜜源が少ない上に、養蜂を生業として営む養蜂家が大変少ないからです。先述の通り養蜂家の作業は、巣箱の手入れからみつの採取まで、すべてが手作業に近く、またその手間の割にリスクは高いです。
はちみつの採蜜量は自然のコンディションに左右されるため、酷暑や冷夏、豪雨、台風などの自然現象によりすぐ下がってしまいます。天候が安定せず、蜜源となる花や樹木を植えておく土地が少ない日本では、養蜂業はリスクが大きいのです。
また最近ではみつばちの減少や全滅なども問題となっています。養蜂家が育成し採蜜に利用しているのは主にセイヨウミツバチですが、農林水産省畜産局が管轄する「家畜」に分類され、自然の中で勝手に飛び回って生きていくことはできないのです。
みつばちの減少の要因としては「農薬によるダメージ」「酷暑日の増加」などさまざまな原因が取りざたされていますが、一つではなく、養蜂家の努力によって取り除けるような安易なものでもありません。ゆえに日本で養蜂をしよう!と志すこと自体がかなり困難なのです。
例えば中国、中央アジアなどは広大な土地、豊かな自然に恵まれ養蜂に特に適していることに加え、日本よりも人件費がかからない(工業製品がメイドインチャイナである理由と同じですね)ため、養蜂業のハードルは日本より下がります。また人件費が低く採蜜量が多いため、市場に出回るはちみつは安価な商品も多くあります。なお南米、東南アジアなどのエリアでも、同じ理由でリーズナブルなことが多いようです。
加工したはちみつは安い!?
そもそもはちみつは、みつばちたちが採ってきた花の蜜を、巣に閉じ込めて熟成させ、糖度をあげて作られるもの。はちみつの糖度は日本では78度から80度くらいですが、はちみつになる前、花蜜そのものの糖度をご存じでしょうか?
花蜜の甘味の成分は果糖とショ糖であり、これらの糖度は20度から50度ほどなのだそうです。それをみつばちが自分の唾液とともに巣に持ち帰り、巣に貯蔵し蓋をして熟成させて糖度をあげていくのです。
よって、糖度をあげるにはじっくりと待つことが必要なのですが、安いはちみつはその過程を飛ばし、加工で調整することがあります。つまり「加熱処理してはちみつの水分を飛ばす」ことや、逆に「加水処理してはちみつの糖度を落とす」などの人工的な調整が行われるのです。これらの調整はすぐにできますので、じっくり熟成を待ったり、ちょうどよい熟成度合いを見極める必要がありません。
はちみつの平均的な糖度80度から外れる品質のものは安くなりますが、その際、糖度が高すぎるはちみつと低すぎるはちみつを組み合わせ、ちょうどよい数値バランスに仕上げることも。もとが安いものどうしを組み合わせているため、安価で仕上がります。また加熱や加水処理したはちみつを加えて成分を調整し、安くすることもあります。
はちみつの価格帯別の特徴:1,000円以下から高級品まで
価格帯別にはちみつの特徴を説明します。例えば、1,000円以下、2,000〜3,000円、そして高級品となる5,000円以上のはちみつそれぞれの違いと、どう選ぶべきかを解説します。
1㎏1000円以下
金額としては、非常にリーズナブルな商品となります。品質にバラつきがあるはちみつを集め、人工的に加工している可能性が高いです。リーズナブルな商品の場合、原材料表記を確認してみてください。「はちみつ」のみであれば、加熱処理などはされているかもしれませんが、砂糖などの混ぜ物などはされていないはず。はちみつの表記基準では、混ぜ物をしたものを「はちみつ」と書いてはいけないことが決まっているからです。
加熱処理をしたことで一部の栄養素は失われていたり、風味が損なわれている可能性はありますが、すべての栄養素が失われているわけではなく、はちみつの風味は十分に楽しめる商品です。
またメリットとしては、人工的に調整を加えるので品質も安定しています。加工用や業務用、また料理の調味料などの用途としては、この価格帯のはちみつでも活用できます。
1㎏2000~3000円
比較的安くはちみつを生産できる産地で採れ、人工的な加工を行わなくても自然に完成された品質であったり、品質検査などをしっかり行っており、その分のコストがある程度かかっているため、少し価格が上がります。
この金額の場合、ほとんどが非加熱の生はちみつで、品質は安定して高く、健康や美容のために、普段使いで楽しめるグレードのはちみつです。ごくごく一部、加熱処理されたはちみつが含まれる可能性はゼロではありません。
1㎏5000円以上
国産、または他の産地でも、採れる量が少ないとか、希少価値が高く珍しい種類、特別な採蜜方法をしているはちみつは、当然ながら価格も高くなります。高品質であるのは間違いないのですが、普段使いするには勇気がいります。
安価なはちみつと高級はちみつの違いとは?
上記説明した内容をまとめて、市場に出回っている安価なはちみつと高級なはちみつの違いについて、加糖はちみつや混ぜ物がある製品のリスクと、純粋な天然はちみつの価値を解説します。
安価なはちみつのリスクについて
上記で説明した通り、安価なはちみつは、グレードの低いはちみつ(=糖度が低すぎたり、高すぎたりするもの)を混ぜ合わせたり、加熱処理、加水処理など人工的な加工を行っている可能性が高いです。
自然の栄養がすべて残っていて、はちみつ本来の風味が楽しめる「非加熱」の「生はちみつ」ではない可能性が高いので注意は必要です。ただしそういったはちみつも、用途によっては需要があり「にせもの」ということではありません。例えば加熱する料理に大量に使う業務用などで活躍する場合もあるので、一概に「悪」ということではないです。
天然はちみつの健康効果とその活用法
天然はちみつは、180種類含まれているという栄養成分は、すべて100%天然成分。含まれている栄養成分のなかには、ビタミン類、酵素、ミネラル、グルコン酸が含まれています。この成分によって、免疫力の向上、抗菌・殺菌作用、腸内環境の改善が期待されています。
また天然はちみつは、単糖類(ブドウ糖や果糖)で構成されており、速やかに吸収されてエネルギーとして利用されます。果糖は、血糖値を急激に上げにくいという特性があります。血糖値が安定しやすくなり、インスリンの分泌量も安定するので、糖尿病のリスクも軽減することができます。
朝食として食べるとすぐにエネルギーに変わるため、朝から活動的に動くことができます。受験生にとっては、脳のエネルギー源・ブドウ糖を効率よく摂取でき、ワークアウトや筋トレを頑張る人にとっても、効率的な糖分摂取に役立つことでしょう。
さらに寝る前に天然はちみつを摂ることで、夜間低血糖を防ぎぐっすり眠ることができます。夜間低血糖とは、睡眠中に血糖値が異常に低下する状態を指します。低血糖状態は、起きているときには異様な疲労感や眠気で気づきますが、寝ていると気づくことができません。そのため重大な病気に進行することもありますが、寝る前のひとさじのはちみつがそれを防ぎます。
天然はちみつの効果について詳しく説明した記事もございますので、ぜひご覧ください。
コスパの良いはちみつの選び方…日常使いに最適な価格と品質のバランス
美容や健康のために気軽にとれる、日常使いに最適なコスパの良いはちみつを選ぶためにはどうすればよいのでしょうか?気軽な普段使いに適した、価格と品質のバランスが取れたはちみつの選び方を解説します。
業務用や加工用か?純粋はちみつか?
業務用や加工用など安価なものでも、はちみつのコクなどを活かしつつ、安定したコスパの良い「調味料」として考えるなら、1㎏1000円以下のはちみつでも十分OKです。はちみつ本来の美味しさ、豊富な栄養素を求めつつ、日常使いもしたいなら、1㎏3000円程度までのはちみつがおすすめです。
その場合は、はちみつの原産地の様子や品質検査の結果を公開していたり、専門の養蜂場が独自の基準で選んたはちみつはおすすめです。
やまぎし養蜂場の厳しい品質基準をクリアした天然はちみつ
やまぎし養蜂場の「あかしあ大地」は中国にある自社提携養蜂場だけで採れたはちみつ。検査も8回以上、化学物質なども200種類以上の検査を行った安心品質です。輸送中も低温コンテナで温度管理しながら輸送するといったこだわりの商品となっております。
毎日体に入れるものとして、安全とコストのバランスを考えれば適したはちみつなだと思っております。
もちろん、あくまで国産にこだわりたい!という方もいるでしょう。自然の国産生はちみつを一口ずつ生で食べて、美容と健康に役立てる、というのも、とても効果があります。